カーチャの冒険46話



Writer,Art:GEN

「気配」



やがて獣道が開け、少しだけ広い空間に出ました。
シューラは、たぶん道に出るだろうから、森から抜けるのはもうすぐだといいました。

その直後でした、シューラがつまずきかけると、
ピューと風を切る音がして、何かがシューラを打ち付けました。
叫び声をあげ転げ回るシューラのそばに、ロープに結ばれた木の枝が見えました。
あとで知ったのですが、それは、罠というもので、
シューラは、スネを太い木の枝でひどく打ち付けられたのだそうです。

シューラはもう立てません。
這いながら、繁みに隠れろといいます。
気配がすると いうのです。

私とシューラは息をひそめました。
シューラはたくさん汗をかいています
曲がってしまった脚からは、大量の血が出ています。
私には、どうすることも出来ません。

何かが近付いてきます。
シューラがいうには、罠があるから人が居るかもしれないし、
動物かもしれないそうで、鬼ではなくても、
クマやオオカミでも危険は変わらないんだそうです。

私は、どうしていいのかわかりません。
ただ、震えるシューラのそばで、ジッとしていることしか出来ませんでした。





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