カーチャの冒険14話
Writer,Art:GEN
「慈悲」
あの後、イゴールは一軒の空家に隠れたそうです。
誰もいないと思った、そのお家には、おばあさんが一人居たそうです。
イゴールが言うには、警察に通報されるんじゃないかと思って、
いっそ通報できない様にしてやろうかと思ったそうですが、
おばあさんは目が見えないらしく、
イゴールがどんな人かも分からなかったらしいです。
おばあさんはとてもやさしくて、温かい食べ物を分けてくれて、
そして、緩んだ継目を針と糸で縫って直してくれたそうです。
こんなにやさしいおばあさんに、一度は手を掛けようとした自分を、
イゴールは心の底から恥じたそうです。
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